はみだしもの雑記〈やわらぎ 〉

迷惑かけたらごめんなさい。

身体に育てるもの

私のところに来ている太極拳や演奏関係の人たちに一番多い質問である「丹田」についてです。
本屋に行けば丹田についての本も多数刊行されていますが、でも丹田を作るとなるとあまり具体的にわからないようで、そこらへんから始めたいと思います。
丹田」のさすものは何か?
と言いますと、一般には高岡英夫さんの言うように「意識のかたち」というのは一面では正しいと思います。
意識を集中し続けることで、あるいは全体の運動構造をそこに集中するように動くことで得られる、ある「実感」のことです。
昔から「練丹」と言いまして、そこに意識を置いて身体を練ることで、気を集め凝固させていくという方法がありました。「気」というものを物理的に実感するには最適な場所だからです。この方法では身体の中心を見つけ、例えば下腹部の前後左右の中心としても良いでしょう。そこで球状に呼吸に併せて意識を操作していけば意識が形になっていきます。その玉は一度出来上がれば自由に動かすことが出来ます。
私の場合は大きな空間の中に小さな気の塊空間という二重構造で作ったことがありましたが、身体を扱う時にその玉を回したりロータリーエンジンのように動かすことで手足が動くようにもなります。
太極拳で言えばヒョウ・シキョウさんという方のされている太極拳が手っ取り早く作るには適していると思います。
肥田式強健術というマニアックな方法もありますが、少し難しい。
実は肥田さんの丹田は資料に二種類ありまして、肉体構造上の丹田ともう一つ、意識を介さない丹田です。
一つ目は腹の中心ですがもう一つはあえて特定すれば尾骨の斜め下後ろ辺りです。
これが腰側の丹田ということになるでしょうか。腰椎構造の発生源になっています。
見つければ宇宙空間にちょうど四角や丸の抽象形が浮かんでいるように見えます。
これも、私は一度しか見たことが無いので検証出来ないのですが、ご存知の方も大勢いらっしゃると思います。
この二重性が実は大問題なのですが、その「問題」とは偽造の「丹田」と真の「丹田」ということになるでしょう。
ただ、「真丹田」は意図的に作るという性質のものではないし、偽造で十分機能して間に合いますからここではその真丹田が「現実」の物理法則を凌駕する整合性を持つものである。という説明に留めさせていただきます。
 
さて偽造丹田、聞こえが悪いので「丹田」としておきますが、丹田の性質は使い方によって様々です。
一般のメリットの一つは重心が安定するということです。
もう一つは力の発生ということです。
さらに心理反応の抑制いわゆる「腹の据わった」状態を指します。
下腹部は常に虚実の「実」の状態に無いといけませんから、昔は腹圧をかける方法が主流でしたがそれ一辺倒では、脳の血管が切れたり、痔が出たり、痛ましい犠牲者が大勢出たそうです。
腹圧は確かに必要ですが、呼吸を吸っても吐いても圧を維持できる程度で十分です。
あとは、正しい丹田感覚を見つけることです。この季節はその良いトレーニングになるでしょう。
見つけたときに自分の身体を半分くらいの大きさに感じるようになると良いでしょう。
それが表の丹田です。
裏の丹田は逆に大きくなります。しかし空間だけが思ったように広がり「ターレン」大人と中国人が呼ぶような大きな印象を持ちます。
ここは文化の違いかもしれませんが、職人のような集中作業には表が適しています。
逆に裏は、看護婦や孤児院の院長さんのようなイメージの人の面倒を見るのが適しています。
そこで骨盤の開閉ともリンクしています。
面白いのは表が狙ったところに集中するあまり、エネルギーの凝固を引き起こすのに対し、裏は狙ったところ意外にエネルギーが集まってしまうのです。例えば会話の中で表の力は相手に強力な印象を残します。声の発声や楽器の音質も伝達する力は表の力が大事になります。
裏は論点を直ぐにズラす。するりと逃げることに発揮します。感覚が消えるという感覚ですから問題を隠す性質があるようです。
また機能で言えば、裏は主に排泄や生理に使われます。
 
実際のパフォーマンスでは両方の力が必要ですが、・・・書きすぎたかな??
まあ、でも悩んでいた人にとって以上のことを整理できれば十分だと思いますから、今日のところはこれで止めておきましょう。
 
それでは次回。