はみだしもの雑記〈やわらぎ 〉

迷惑かけたらごめんなさい。

源頼朝の歯周病

去年から春になると歯が具合悪くなる。
整体では歯の治療をするなら5月か10月と言われている。身体が開いているでもなく閉まっているでもない中間の変動している時期にという意味なのだけど、ここ一か月ほど歯痛をあれこれ弄っていたのでそのことについて少し書いてみます。
虫歯予防には歯磨きと言うのが常識になっていると思いますが、そんな習慣はごく最近のことですね。そのような習慣のない民族も大勢ありますからエチケット程度に考えていれば良いと思いますが、一般の歯磨き粉の多くは身体にとって良くない成分を含んだものも多く、塩で磨くか石鹸歯磨き粉程度にとどめておいた方が無難であるという歯医者さんもこの頃ふえてきたようです。
まあ基本的には歯磨きをしなくても虫歯が無いというのが正常であると言えるでしょうけれど、昔でいえば鉄漿、時代劇によく出てくる歯を黒く塗った人たちですが、あれは粉の材質に虫歯予防の意味もあったようです。
では何故虫歯になるのか?と言う事ですが、まず「病死」という概念から遠いような気分を作り出しているかもしれませんが、虫歯も狭心症や糖尿病、胃腸炎・・などとなんら変わらない「病?」と思っていただきたいと思います。
医師にとってみれば術死のリスクは少ないけれど、患者にとってみれば歯と言うのは唯一体外に露出した骨です。この骨に直接金属を被せたり、差し歯であればつまりは人工骨ですが取り替えが効くように思うのはいかがなものかと思います。
痛み止めの薬一つとってもその脳神経や顎関節から尾骨、腸骨、膝骨、・・と余程鈍くない限り影響を与えています。それが別の様々な病気の要因になっていることも少なくありません。
また一度下手な治療をすると噛み合わせ、薬物その他によって他の歯を連鎖的に虫歯にしていくスパイラルへと落ち込んでしまうことも珍しくありません。
気軽に抜いたり穴を開けたりする歯でも、その一つ一つが全身のバランスと切り離すことは出来ないと思っておいた方が賢明であると思います。
 
しばらく歯の観察をしている時に「源頼朝歯周病」というタイムリーな本を見つけました。著者は病態病理学系微生物学分野教授という長たらしい肩書の早川智さん。
歴史上の人物の記録から症状を推測してなんの病に罹っていたのかを推測した本なのです。
例えば藤原道長の病状記録から糖尿だったのではないかとか、平清盛の死因はマラリアだろうとか、カエサルの癲癇とかなかなか面白いんだけど、イザナミの産褥熱とか怪しい症例もあってなかなか良い。
題名にもなっている源頼朝は1147年5月9日に生まれ53歳で落馬して死んだことになっています。頼朝ほどの人物が単なる落馬で死亡というのは考え辛いことから、「盛長私記」では甲冑姿の武者が暗雲と共に現れ驚いた馬に振り落とされたとか、「保暦間記」には平家や木曽義仲義経などの怨霊が現れたということになっています。
また死因を脳出血にするもの外傷性遅発性脳卒中とする説などがありますが、意識障害などの記述が無いためこれには疑問があり「猪隈関白記」に「前右大将頼朝卿 飲水によりて重病、去る十一日出家の由、世もって風聞」とあることから水を飲んで病状の悪化していること、傷を受けて二週間後に亡くなっていることから破傷風ではないかという説もあります。
しかし受傷後に医師を呼んだ記述もなく当時破傷風なら珍しくもなかった症状ですから記録に残ったであろうと判断し、一過性脳虚血発作(TIA)であろうと著者は判断しています。
つまりこの落馬後に静養中より重篤脳梗塞をおこし、また誤嚥生肺炎を併発していたのではないか?ということです。ただ53歳という若さである為、狭心症心筋梗塞の可能性も否定できないと。
そして問題が「吾妻鏡」に頼朝の死の4年前歯の病に罹ったという記述があります。
この時宮廷の侍医より薬が届けられますが即効性はなく、薬師堂に祈願しています。
歯周病であれば、虚血性心疾患、脳梗塞誤嚥性肺炎のリスクも高くもっともありうる診断と著者は判断しています。
頼朝の幼少期からの苦労、覇権争い。多くの兄弟や一族、部下の粛清、妻政子と北条時政に対する確執、度重なる暗殺未遂など度重なる心労、身体の負担を考えても53歳まで生きたのは当時としては早逝とはいえ、頑丈な身体だったのでしょう。
著者は歯周病について、「歯垢が主要な原因の一つとされていますが、多くの複合的リスク要因によって発生するとされています。歯周病は単に局所の骨破壊を伴う炎症であるのみならず、心内膜炎、アテローム動脈硬化脳梗塞、虚血性心疾患、低体重児出産、糖尿病などのリスク因子となっています。」と書いています。
複合的リスク要因を度重なる心労で説明しているわけですが、よく聞く病因の第一位「度重なる心労」を原因としてしまえば、その後は心療内科の領域というわけです。
一昨年春に歯周病で骨破壊の治療を始めた方が来ました。身体の方々に問題を抱えていたのですがそれらが落ち着いて元気になるころに、不妊治療に行かれてしまいました。
結局複数回の不妊治療で諦めたそうですが、その不妊歯周病が無関係であった筈はありません。不妊のストレスと言うのは周りからの圧迫も相当なものでしょうし、女性としてのごく当たり前の要求としてみても大変だろうとは理解します。
身体的には不妊治療のポイントはあるものの通常の整体とさほど変わったことをするわけでもありません。操法をしたその日に受精すれば妊娠するという方法もありますが、僕も数をこなしているわけではないので、一例しか知りません。後は妊娠できる条件が揃っていれば、ごく自然に妊娠します。また、不妊の原因は男性側にあることが多いことや、単純に身体原因に止まらないというケースもあります。しかし、現代女性の不妊の増加は尋常ではないし、補助金でどうにかなるものではありません。
話が飛んでしまったのですが、不妊についてはまた別に書きましょう。
ともかく彼女は元気になりすぎて、もとい、今まで歯周病に発散していたエネルギーを今度は不妊治療で身体を壊す方向に発散し始めたので、「今はまだ無駄だ」と言ったところで止まりません。
さて、彼女の歯周病生殖器の働きを抑制していたものだったのですが、その変動はどこにあったのでしょう。そしてその変動のきっかけは何だったのでしょう?
そのストーリーを推測するのは、それ以前の歯科治療が絡んでいますからちょっと複雑です。現代では歯を身体と切り離した「モノ」として扱うことを国家が推奨しているわけですから、頼朝さんの当時より問題が複雑化していると言えるでしょう。
簡単に言うと、例えば打撲でも転んで背中をぶつけたのと、他人に危害を加えられる形で背中を打撲したのでは意図的な打撲の方が明らかに経過回復し辛いのですが、歯科治療にはこの打撲に相当するケースが多いのです。
 
参考までに歯が痛くなった時の対処の仕方を書いておきます。
歯の痛み自体は頸の5,6,7番が落ちて捻じれている側に痛みがありますからそれを押さえてやればとれます。ただし感情的な問題、消化器の問題がその元にある時などは掌の所謂合谷と言われる親指と人差し指の間です。
歯茎の鬱血は下顎骨の痛いところを外に向けて押すと痛みが止まりますが、続けているとまた痛くなって、そして止まります。上の歯だと頬骨が落ちて下から押し上げると痛い側の骨の場合もあります。
化膿している時は上腕の整体で第6と言われる窪みから歯茎を見ていくと流れはしますが胸鎖乳突筋の緊張を取る必要もあります。また腹部の調整も必要です。
頭の過労から来ていれば頭頂部の左右です。
そしてどの場合でも頭の血行に関係していますから頸椎2番が必要となります。
他にも腸骨の問題であったり、足首や、肩甲骨など変動した身体を作り出している焦点はケースバイケースです。
これらは歯科治療の影響からフリーである場合、例えば頼朝さんの当時であれば確実に効果があったでしょう。
結局歯の詰め物や被せもの、差し歯などにより身体に起きた不都合を吐き出すことが抑制されますと刺激が加わることでぶり返してしまい、変動を解消することは中々困難になります。
また歯に入れる材質自体で顎関節の位置すら大きく変わっていますし、例えば材質によって血液の質に問題が起これば肘の下側に硬結様のものが出ます。顎関節自体、歯並び等に問題が起きれば尾骨の脇にそれが出ます。
頸椎2番の変動は脳梗塞、癲癇のみならず、全ての運動に影響を与え、逆に反映しているところでもありますからもちろん影響が出てそれが頭痛となっているのかもしれません。。
 
例えば僕の場合今回観察したところやはり元は鼻の問題でした。初めに前歯が欠けた時は医者のミスで差し歯になってしまいましたが、これが数年かけて他の歯を侵食していきます。この鼻の問題は生まれつきの問題と、薬物治療の問題、そして骨折と3段階に分けてみることが出来ます。鼻は感覚器の知覚の大本と言っても良いほどで性の知覚にある種の特質を生みます。これが面白い処なのですが、自力で鼻の問題を解消した後、今度は歯の差し歯で同じところに問題を打ち込んだのです。
前回書いたことでもあるのですが、身体とはつくづく人生の抽象的表現だと思います。
私たちが通常の意味で身体を「治す」と言った場合に、その身体表現の元にある生まれながらにもつ課題を見つめないと延々とその表現は繰り返されるとしか思えないのです。
人生の核にある要求がその核にある問題の解消である以上、繰り返されるのは身体だけでなく人間関係、とりわけ親子関係やパートナーとの関係に現れ、どの選択肢も自分の核にある要求を解消しない限り問題のある関係から逃げられません。シビアですね。。
 
僕の差し歯は根っこが化膿して隣の前歯の神経も殺してしまったのですが、それでも神経が死んだだけで気は通るのですが差し歯事態には通らないアンバランスな状態です。去年そこから左上、左下奥歯と化膿したのですがその奥歯を治療した後に前歯の膿が目に回って両目とも開かなくなるほど目から膿が出てきました。しかし今回も同じくたまってきたので、春のこの時期に変動すると言うことですが、調整してから痛みが無くなり、回復する傾向が見られた頃、前回の左奥歯を外しました。あらかじめ化膿活点と呼ばれる部分で膿を処理した前と後でレントゲン撮影を確認したところ歯茎の膿の部分が解消されて、左顔面全体に流れ、歯自体の痛みもかみ合わせの狂い以外の問題が解消したところで外したので何に影響が残っているのか楽しみにしていましたが、どうも左肋骨の6、7枚目に出てきました。鎖骨の骨折とも絡んでいるので家庭の問題ですが、肋骨の厚みに左右差があると夢を見ます。左の3,4枚目だと追いかけられるような悪夢です。この6、7もやはり悪夢でした。そしてやはり打撲した箇所が出てきます。
 
顎関節も歯の神経も頸椎4番に現れます。他にも関連する処を挙げれば限が無くなりますが、以上の事は所謂他との関連の観察の目安です。
それ以前にある記憶による「感覚の凍結」を解除することが問題の核に触れる事になります。今回ちょっと面白い発見もあったのですが、また他の歯に被せたものも取ってもらうことになると思うので、検証を重ねてまた次回お話ししたいと思います。
 
最後に一つ加えておきますと、このように身体を説明したり探求しようと言う姿勢そのものが、また自身の心身に問題を作って苦労する元にもなっています。勿論こういう人間の見方が正しいという気もないしお医者さんの考えが正しいと言うわけではありません。鍼灸師なら鍼灸師の見方があるでしょうし、その中でも個人個人違うでしょう。それぞれの経験からくる信念がそれぞれの世界を産み出しているのですから。ただ意識以前にそうなるべく方向付けている要因があるだけですね。

源頼朝公の死因はもちろん寿命です。どんな病気であったかはその人生の一部として興味深い表現ですが、現代のわれわれの方がどんな生き方をして、死に方をするのかその選択が不自由になっていると言えるでしょう