はみだしもの雑記〈やわらぎ 〉

迷惑かけたらごめんなさい。

シンボルと言うテーマ

人間の脊椎の歴史は五億年前に遡る。
いわ
ゆるカンブリア紀に起きた生命進化の大爆発を指します。
その時期に生命形態が異様な多様化をした事が分かっているけど、何故ミトコンドリアからそんな生命形態が生まれたのか謎だ。脊椎に何の必然性があったのだろう?
その頃我々の先祖はネズミの様な形態だったと言う学者もいるけど、ミトコンドリアとネズミがどうして繋がるのだろう?
たかが15億年で唐突に過ぎるとしか思えない。それまでのバランスが壊れる隕石などが原因としても、それは答えになっていない。
そこから猿人が生まれたのが約600万年前。
人類の祖先ホモエレクトゥスが僅か180万年前。この時彼等は火を発見します。
はじめてエネルギーと言うものを発見したことが大きな変革をもたらし、23万年前にネアンデルタール人が出てきた時には言語と社会の萌芽の様なものを持っていました。そして20万年前にホモ・サピエンスが現れる。
中沢新一さんによると彼等は言語から比喩と言う作用を生み出していました。
つまりシンボルです。このシンボルは我々にとって世界の認識作用の最初期のもので、色々な事物を結びつける、その響きあいで世界が構成されている見方を作っているとみるのが、人類学の考え方だそうです。
その響きあいが初期は性を中心に自然界と自分達との繋がりでレッスンされていましたが、そのうち貨幣を生み出します。貨幣から最近ではビットコインに見られるような価値の増殖と言う奇形に展開しますが、この基本は世界のバランスを阻害しないモラルが基軸になっています。素朴なところでは古代人が木の股を見て女性の性器との繋がりを見出し男性器に見立てた石を祀って、自分達と森との響きあいを感じ取って来た様な原始的感性が、いまはエコロジーとして人類のセーフティーになっています。

例えば、音楽はこのシンボルで出来ています。
1オクターブ違う音を同じと感じたり、5度の音程に倍音の違いを聴きとるのもこのシンボル、象徴認識によるところのものです。
西洋音楽はこの象徴認識の発達したものですが、それの意図するところは宗教的な神秘主義思想の具現化でした。
武満徹さんは
「旋律は音階とリズムの旋法(音階)に魂を委ねて始めて可能になる。そして、音階はその時初めて姿を現わす。それは日々生まれ変わり、特定の日や時間、特定の場所、また特定の内的な情景と深く結びつく。音階は人間が歩む道であり果てしないが、その無数の葉脈のような道は、いつか唯一の宇宙的な音階へと合流する。それは神の名で呼ばれるものであり、地上の音階は神の容貌を映し出す鏡の無数の細片なのである。」このことを邦楽の音階を拒むと言う性格、神を持たない音楽に対する西洋音階と対比したのだけど、シンボルの意味を端的に語っています。
過去と未来は双方向であるならば、「脊椎」こそはこのシンボルの文字通り「骨格」と言えるでしょう。
神学的な神秘主義はここを目指しているけれど、その手法には邦楽的な音階が必要なように思います。数年前にその世界の第一人者と話していて「今の野口整体こそエソテリックそのものです」と評価されていたけれど、その意味は記号化した途端にまるで響かないものになります。

途方も無い謎だけど、五億年と言う歴史を持つ脊椎に触れる事で、ほんの断片でも発生の謎が解けないか…と思っています。