東海道線で西に向かうと小田原からガラリと風景は変わる。
根府川のあたりで海に削り取られた崖に沿うように列車は走る。
その風景に魅かれて駅を降りると、線路の下をくぐり民家の庭先を下りて海に出るのが最短距離になる。
この辺りは民家が少なく寺社とホテルの他は、ゴルフ場と森に囲まれている。
何処となく、恐山に似た空気を感じると言えば言いすぎか。。
古代の人たちは岬を死の国に最も近い場所と感じていた、人間の身体でいえば頭の部分。
死んで魂が抜けて行くのも頭のてっぺんからで、それも岬と関係している。
「気」は高いところに向かう性質上、関東圏の霊道は富士山に向かうけど、ちょっと想像してみると、伊豆半島を頭としたら根府川、小田原と三島、沼津が首から肩の境にあたる。根府川と三島で丁度伊豆半島を切り取るように東海道線は走っている。
そうすると中心のちょっと左寄り心臓の位置に富士山が位置することになる。
石廊岬を頂点にして三角形を作る半島の西と東、三島と根府川の二点は印象が大きく違う。
穏やかな気候と、美味しい富士山の湧水が豊富に湧き出すなだらかな三島から富士一帯と、幕末西軍を箱根で幕軍が迎え撃つ用意さえしていれば歴史は変わったと言われる程、意外と険しい山々が連なる小田原から熱海一帯。
また東海から西には弥生の遺跡が多いのに対して、東京には縄文遺跡が多いらしい。そのイメージにも合致するほどこの路線の短い区間に雰囲気の違いがある。
そう言えば中沢新一の「アースダイバー」に関東の縄文遺跡と古代から現代人の深層に流れる思想について書いてあったはず・・・
と思い出し4,5ページ読んで閉じていた、読みかけの「アースダイバー」を読み始める。
おもしろい!!
実は中沢新一史上、最高傑作なんじゃないの!!
ごめんなさい。ちょっと高いからって理由で本屋で何年も表紙を眺めてため息をついてました。
挙句の果てに、買ったは良いがチラ見して本箱の奥に突っ込んでいた私が愚かでした !!
これはね、列島の西と東の境目にはもっと面白い仕掛けがアルンデショウネ。
そういえば…富士山世界遺産のおかげで、観光地化するためにそんな仕掛けのいくつかが犠牲になっているけどね・。。
そんな資本主義の矛盾が、日本的資本主義を生み出した地形的な装置と人間の深層意識を結び付けた巨大なうねりの中で、どう変化していくのか興味しんしんです。